コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
信越化学工業が
前年同期比5割超の大幅増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界5社。対象期間は22年2~6月期(5社の対象期間はいずれも22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・信越化学工業
増収率:51.2%(四半期の売上高6567億円)
・旭化成
増収率:14.9%(四半期の売上高6704億円)
・三菱ケミカルホールディングス
増収率:19.2%(四半期の売上収益1兆1065億円)
・東レ
増収率:17.9%(四半期の売上収益6059億円)
・日本ペイントホールディングス
増収率:30.4%(四半期の売上収益3380億円)
※信越化学工業、旭化成は収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
化学業界5社は全て前年同期比で2桁増収となった。中でも信越化学工業は5割超という大増収だった。この要因は何なのか。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、信越化学工業の増収要因について詳しく解説する。