「5年後の年収」を試算する独自ランキング第2弾として、直近の平均年収が低い部類に入る“低年収企業”の予想年収ランキングを開陳。インフレに苛まれる中、収入アップはとりわけ低年収企業の働き手にとって切実な問題だ。そこで特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#16では、従業員たちに報い“年収下克上”を果たしそうな一群と、逆にこの先一段と年収減に見舞われかねない企業の「年収格差」をあぶり出した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
低年収企業の「5年後」を試算!
下位100社の予想年収&増減額が判明
身を粉にして働く会社の給料が今後上がるのか、下がるのか――。インフレでモノの値段が上がる中、とりわけ低年収にあえぐ人にとって収入アップは焦眉の急。先行きが気になる人は多いだろう。
そこで本稿では、第1弾(本特集#13『有名企業「5年後の年収」独自予想ランキング【上位100社】3位中外製薬、1位は?』参照)に続き、専門家の協力を得て「5年後の年収」を独自試算。今回はまず、対象企業から直近(2021年度)の平均年収ワースト100社を抽出。その上で、5年後の予想年収が低い順にランキングした。
結果を一部明かすと、予想年収ランキングのワースト3位は旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)、2位は国内靴小売り最大手のエービーシー・マート(ABCマート)だった。ワースト10社の顔触れを見ると、小売業が5社、サービス業が4社と、業種的な偏りが鮮明となっている。
また直近(21年度)と5年後の増減額を比べると、32万円減から102万円増まで、最大「134万円」もの格差が明らかに。予想年収が102万円増の企業では、ワースト順位が21年度(50位)から5年後(100位)へ50位も後退し、大幅な“下克上”を果たす結果となった。
一方、予想年収額が14万円減となり、21年度(100位)から5年後(42位)までジリ貧街道を歩むメディア企業の存在も。さらに、低年収ワースト1~5位の顔触れは直近(21年度)と5年後で変わらないが、増減額の違いにより、序列が入れ替わる未来像も判明した。
なお第1弾と同様、ランキングは項目名をクリックすると昇順・降順で並べ替えが可能。「21年度の予想年収」や「(5年後の予想年収を21年度と比べた)増減額」などで、それぞれの順位が確認できる。社名や証券コードでの検索が可能で、業種で分類もできる。
ランキング対象の母集団は、国内上場企業から持ち株会社と変則決算の会社を除く約3200社(データ提供:東京商工リサーチ)。この中から、過去10期分の年収と営業利益の相関性などを基に好業績(業績悪化)で給料が上がりやすい(下がりやすい)傾向がある2640社を抽出した。
さらに、市場が予想する5期先までの営業利益データが取得可能な556社を抽出し、各企業を上場市場がプライムかどうか、日経平均株価の銘柄かどうかや本社所在地、平均年収の金額などでカテゴリー化。各カテゴリー、営業利益および年齢を用いた重回帰分析によって予測モデルを作成し、予想年収のワースト100位をあぶり出した。
この中には、オリエンタルランドや良品計画、ZOZO、神戸製鋼所、日本製鉄、西日本旅客鉄道(JR西日本)、セコムといった有名企業もずらり。「低年収」の一群に名を連ねてしまったが、これらの企業は5年後、“年収下克上”を果たせるのだろうか。次ページ以降、一挙に見ていこう。