米国株&債券リターンは「過去100年で最悪」、景気・物価変動シナリオ別の注目資産Photo:PIXTA

株式と債券の合成リターンは
過去100年で最悪のペース

 金融市場に、かつてないほどのストレスがかかっている。ロシアのウクライナ侵攻や、コロナ禍の影響による供給網の混乱、資源高による世界的なインフレなど、未曾有の出来事が複合的に発生しているからだ。加えて、日本を除く世界の中央銀行は、物価抑制のために大幅な金融引き締めを余儀なくされている。

 投資家も苦境に立たされている。米S&P500株価指数と米10年国債の年初来のリターン(ドルベース)を単純平均した数値は、今年9月末時点で▲20.6%。これは1974年の▲18.8%や、1931年の▲16.4%を下回る、過去100年で最悪のペースである。

 今は悲観的な材料があまりに多く、明るい展望を描くことは難しい。しかし、それでも市況はいつか回復に向かうはずだ。相場回復のシナリオを想定し、その時が来ればいち早く対応できるよう、準備は怠らないようにしたい。本稿では、相場回復に向けた道筋と、注目される資産について考察したい。