コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7~9月度の居酒屋チェーン編だ。
鳥貴族、9月の売上高「13倍」
その裏に隠れた“悲しい実態”
居酒屋チェーンの主要4社が発表した7~9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯コロワイドグループ(コロワイド)の既存店売上高
7月度:前年同月比113.5%(13.5%増)
8月度:同127.9%(27.9%増)
9月度:同137.8%(37.8%増)
◯ワタミの国内外食事業(既存店)
7月度:前年同月比141.8%(41.8%増)
8月度:同153.7%(53.7%増)
9月度:同153.4%(53.4%増)
◯鳥貴族の既存店売上高
7月度:前年同月比276.2%(176.2%増)
8月度:同736.2%(636.2%増)
9月度:同1344.7%(1244.7%増)
◯天狗グループ(テンアライド)の既存店売上高
7月度:前年同月比166.0%(66.0%増)
8月度:同196.9%(96.9%増)
9月度:同213.8%(113.8%増)
9月度において、今回取り上げている4社全てが前年実績を超えている。特に、鳥貴族は1344.7%(1244.7%増)と、前年同月の13.4倍という異次元の数字をたたき出している。また、天狗も213.8%(113.8%増)で前年同月から2.1倍と、かなり数値が大きい。
しかし、22年7~9月は新型コロナウイルス感染拡大「第7波」が猛威を振るった。変異株であるオミクロン株の一種で高い感染力をもつ「BA.5」がまん延し、日本各地で感染者数が過去最多を記録。8月19日には全国の感染者数が26万1029人となり、過去最多となった。
そんな状況下において、居酒屋業界は本当に数字通り「絶好調」だったのだろうか?残念ながら、そうとはいえない。
月次業績を時系列で確認していくと、居酒屋業界各社の売り上げにおける「悲しい実態」が見えてくる。