コンビニは「兵站(へいたん)」になるのか

 ここでクローズアップされるのが、コンビニである。

 4大会計事務所のKPMGと中国チェーンストア・フランチャイズ協会が今年9月に発表した「2022年中国コンビニ発展報告」によると、「中国政府は、コロナ禍の住民生活を確保する上で重要な役割を果たしたコンビニを重視している」という。 

 住民の身近に存在すると同時に、細かいニーズの変化に対し、タイムリーなサービスができるコンビニが高く評価された形となった。

 今後、中国政府は、地元政府や地域(社区)との協力で、供給の確保や価格の安定化など公共サービス機能を持つコンビニを「都市公共サービスインフラ」に組み込む考えだ。

 深読みをすれば、それは今後もゼロコロナ政策を継続させる可能性があるということだ。「今後も散発的なロックダウンは継続するけど、コンビニを増やすから安心してね」という暗示にも受け取れる。

 さらに邪推すれば、選局が拡大した場合に敷く行動制限下での、住民の食料供給の「兵站(戦時における食料補給機能)」としてコンビニを活用させる算段なのかもしれない。ちなみに、中国チェーンストア・フランチャイズ協会によれば、2021年の中国のコンビニ店舗数は25万3000店(日本の4.5倍に相当)だが、今後、中国政府はさらに増やす計画だという。

 小規模商圏の住民ニーズを満たすコンビニは、中国の「第十四次五カ年計画」の中でも内需拡大を発揮させるために不可欠な小売業態だと捉えられている。国産品を供給するプラットフォームとして、また住民にとっての生活インフラとして、確かにコンビニは活用の余地がある。

「第3期習政権」が推し進める“戦時下の自給自足体制”においては、コンビニに「兵站」としての新たな機能が与えられるかもしれない。居住地でコンビニが数を増したとき、それが与えるメッセージは「その日が近い」という示唆になるのだろうか。