コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度の牛丼チェーン編だ。
すき家と松屋の間に「業績大格差」
負け組なのはどっち?
牛丼チェーンの主要3社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯吉野家(吉野家ホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
7月度:前年同月比110.5%(10.5%増)
8月度:同99.4%(0.6%減)
9月度:同102.2%(2.2%増)
◯すき家(ゼンショーホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
7月度:前年同月比107.4%(7.4%増)
8月度:同108.1%(8.1%増)
9月度:同113.4%(13.4%増)
◯松屋(松屋フーズホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
7月度:前年同月比112.1%(12.1%増)
8月度:同112.3%(12.3%増)
9月度:同113.9%(13.9%増)
22年9月において、吉野家、すき家、松屋の3社全てが前年実績を超えた。中でも、トップである松屋(113.9%)とすき家(113.4%)の数値は2桁増収であり、その差は0.5ポイント差と僅差だ。
しかし、松屋とすき家の間には、この数字だけでは見えてこない「圧倒的な業績格差」がある。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けてきた牛丼業界の中で、「真の勝ち組・負け組」はどの会社なのか。
各社の月次データを時系列に確認すると、表面の数字では読み取れない「裏事情」が見えてくる。