マネックスグループが暗号資産(仮想通貨)事業に傾注する背景には、本業のインターネット証券の苦境がある。SBI証券と楽天証券の「2強時代」が到来し、マネックスの埋没は否めない。そこでリベンジの主戦場に選んだのが仮想通貨だが、そこでも“敗戦”が否定できない状況となった。特集『マネックス 仮想通貨敗戦』の最終回は、マネックスの苦境を描く。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
ネット証券業界を襲う淘汰の波
手数料ゼロ時代がついに到来
ついに日本の証券業界に、手数料ゼロ時代が本格到来する。
SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は11月14日の決算説明会で、インターネットでの国内株式売買手数料について「来年度上半期に無料化を図る」と明言した。
株式売買手数料の完全無料化を世界で先駆けたのは、米新興証券会社のロビンフッドだ。
2015年にサービスを開始し、スマートフォンアプリだけで株式売買を行う「ロビンフッター」と呼ばれる若年層の投資家が急増。米ネット証券大手のチャールズ・シュワブが追随し、同業の米TDアメリトレード・ホールディングを買収するなど業界再編が起きた。
SBI、楽天、松井、auカブコム、そしてマネックスという、日本の大手ネット証券も米国の動向を注視し、いずれ日本に押し寄せる無料化の波にのまれないための生き残り策を模索してきた。
来年9月までにSBIが無料化のトリガーを引いたとき、生き残れるネット証券は果たしてどこか。次ページから各社の戦略を分析し、マネックスの命運を占う。