コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度の鉄道(私鉄)編だ。
東急電鉄、小田急、京王…私鉄5社
移動需要の回復で7~9月は好調だが
鉄道(私鉄)の主要5社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯東急電鉄(東急)の運賃収入
7月度:前年同月比107.6%(7.6%増)
8月度:同113.7%(13.7%増)
9月度:同114.8%(14.8%増)
◯小田急電鉄の運輸収入
7月度:前年同月比111.2%(11.2%増)
8月度:同119.2%(19.2%増)
9月度:同119.8%(19.8%増)
◯京王電鉄の旅客運輸収入
7月度:前年同月比107.7%(7.7%増)
8月度:同113.6%(13.6%増)
9月度:同113.4%(13.4%増)
◯東武鉄道の運輸収入
7月度:前年同月比109.0%(9.0%増)
8月度:同116.2%(16.2%増)
9月度:同115.7%(15.7%増)
◯西武鉄道(西武HD)の運輸収入
7月度:前年同月比106.7%(6.7%増)
8月度:同114.2%(14.2%増)
9月度:同114.2%(14.2%増)
22年7~9月の業績はいずれも3カ月連続で増収、特に7~8月は2桁の増収となった。鉄道は新型コロナウイルス禍の行動制限で大きな打撃を受けた業界の一つだが、それが緩和されたことによって移動需要が回復していることが好業績につながった。特にここで取り上げている私鉄5社は、営業エリアが首都圏に集中していることもあり、オフィス回帰の流れも業績回復を後押ししている。
ただ、詳しく数字を分析してみると、コロナ前の水準には遠く及ばない厳しい現実が見えてきた。一体、どの程度厳しいのか。時系列の数字を確認しながら、コロナ禍からの回復の「実態」を見ていこう。