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近頃はちょっとしたことで傷つきやすい若者がいて扱いにくくて困るといった声を多くの職場で耳にするようになった。しかしその一方で、これでは部下が傷つくのも当然と思わざるを得ない、横暴な上司が多くの職場にいるのもまた事実である。今回は、横暴な上司にメンタルをやられないための対処法について考えてみたい。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

相手の心理メカニズムを知り、自己コントロールのコツを知る

 就職する際、業種や仕事内容を選ぶことはあっても、直接一緒に仕事をすることになる人たちを選ぶことはできない。ましてや上司を選ぶことはできない。そのため、どうにも苦手な上司のもとで働かねばならないというのも、じつによくあることである。

 そもそも、さまざまな人で構成される組織には、自分が苦手な人物というのがどうしてもいるものだ。そういう人物にイライラさせられ、ストレスを溜め込むのは精神衛生上よくないし、ひどい場合はメンタルをやられ、モチベーションが上がらなかったり、仕事の能率も落ちたりして、大きな害を被りかねない。

 そんなことになるのを避けるために、とくに大切なことが二つある。一つは、向こうの心理メカニズムを理解すること。もう一つは、自分の気持ちをうまくコントロールすることである。

 苦手な人物として多くの人が思い浮かべるのが、攻撃的な人物である。攻撃的な言動の多い人物が職場にいると、たえずイライラする羽目になる。とくにそれが上司だったりすると、関わりを避けるわけにいかず非常にストレスが溜まる。

 何かにつけてキツイ言い方をするばかりでなく、理不尽に怒鳴ったりする横暴な上司に対しては、イライラを通り越して怒りさえ湧いてきて、キレそうになるのを必死に堪えるといった感じになりがちである。だが、上司にキレたりすれば、その後非常にやりにくいことになってしまう。本当にキレてしまった結果、気まずくて職場に居づらくなったという人もいれば、上司から怒鳴りまくられさらにストレスが高まったという人もいる。