化学メーカーの東レで、新たな品質不正の存在が判明した。東レは2017年に子会社の東レハイブリッドコード(THC)で品質データの偽装が発覚。22年には樹脂製品の安全認証と建材を巡る品質不正が相次いで明るみに出た。今回新たに判明したのは、高架鉄道の防音壁として設置されている繊維強化プラスチック(FRP)高欄の欠陥で、近隣住民の安全を脅かす剥落なども起きている。事態を重く見た東レは無償交換に動き始め、対象は全国に拡大する可能性が高い。過去の不正で再発防止策が策定されたにもかかわらず、東レはなぜ不正を繰り返すのか――。特集『東レの背信 LEVEL3』は、3月13日(月)から24日(金)までの全5回にわたり、その真因に迫る。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
#1 3月13日(月)配信
【スクープ】東レの鉄道用防音壁に欠陥発覚!JR九州、東武、京成、南海など鉄道各社に「リコール」拡大へ
不祥事が相次ぐ東レで、新たな品質不正が発覚した。高架鉄道の防音壁に使用される東レ製の繊維強化プラスチック(FRP)高欄が、設置からわずか5年でひび割れるなど激しく劣化し、高架下の遊歩道に剥落したのだ。原因は製作時の不具合とされる。問題の高欄は、九州旅客鉄道(JR九州)、東武鉄道、京成電鉄、南海電気鉄道など全国の鉄道会社で使用されていることがダイヤモンド編集部の取材で判明し、東レは無償で交換する“リコール”にひそかに動き始めた。
#2 3月15日(水)配信
東レの欠陥製品は「開かずの踏切対策」で全国に普及、鉄道会社と自治体に広がる動揺【真相ルポ】
欠陥が見つかった東レ製の鉄道用高欄は、国が推し進める「開かずの踏切」対策で全国各地に設置された。鉄道高架化工事は財源の9割を国と自治体が負担しており、事実上、国民が東レの欠陥製品をつかまされた形だ。さらにダイヤモンド編集部が現地入りして取材を進めると、必ずしも住民が高架化を歓迎しているわけではないという、根本的な矛盾も浮き彫りになってきた。
#3 3月17日(金)配信
東レ・日覺社長の「公益資本主義体制」に迫る終焉!相次ぐ品質不正、海外M&A失敗、経営計画未達の末路
全社的に品質不正に見舞われている東レだが、業績という定量的な観点からも、厳しい結果が続いている。韓国や香港でのM&A(企業の合併・買収)では巨額の損失を出し、中期経営計画と実績は大幅に乖離していながら、その原因についての分析はない。機関投資家の離反は必至とみられ、12年間続く日覺昭廣社長の「公益資本主義体制」が終焉を迎えそうだ。
#4 3月22日(水)配信
「東レの“お飾り社外取”が会社をダメにした」ガバナンス専門家が断罪、「伊藤レポート」の伊藤邦雄氏に喝!
経済産業省の「伊藤レポート」などをまとめ、企業統治の“大家”として知られる伊藤邦雄・一橋大学名誉教授が、東レでは長年にわたって社外取締役やガバナンス委員長などを務めている。ガバナンス論に詳しい八田進二・青山学院大学名誉教授が、その伊藤氏らを「お飾り社外取締役」と批判した。
#5 3月24日(金)配信
旧山一やKADOKAWAも手掛けた企業不正調査のプロ弁護士が語る、不祥事を繰り返す企業の共通点
東レはなぜ不正を繰り返すのか――。日本弁護士連合会の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」策定に携わり、旧山一證券の経営破たんやNHKのインサイダー取引事件、KADOKAWAの東京五輪汚職事件など数々の事案で調査を手掛けた國廣正弁護士に、不祥事を繰り返す企業の共通点について聞いた。
Key Visual by Kaoru Kurata