新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はウエルシアホールディングス、ツルハホールディングスなどの「ドラッグストア」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
ドラッグストア各社増収
マツキヨココカラの勢いが落ちた理由
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下のドラッグストア業界5社。対象期間は22年8~12月の直近四半期(ウエルシアホールディングス、コスモス薬品、ツルハホールディングスは22年9~11月期、残りの2社は22年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ウエルシアホールディングス
増収率:14.2%(四半期の売上高2832億円)
・コスモス薬品
増収率:8.9%(四半期の売上高1979億円)
・ツルハホールディングス
増収率:6.2%(四半期の売上高2409億円)
・マツキヨココカラ&カンパニー(旧マツモトキヨシホールディングス)
増収率:7.9%(四半期の売上高2492億円)
・サンドラッグ
増収率:9.4%(四半期の売上高1803億円)
※スギホールディングスは、収益認識に関する会計方針の変更を行って前年同期比増収率の算出ができないため、今回は対象から除外した。
ドラッグストア業界の主要5社全てが前年同期比で増収となった。ただ、マツキヨココカラ&カンパニーは4四半期連続で6割超の大幅増収だったのが、今回は1桁増に落ち着いた。
22年10月には新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和され、入国者数の上限撤廃や個人の外国人旅行客の来日解禁などがあった。コロナ前まで特にマツモトキヨシは、インバウンド(訪日外国人客)向けの免税品販売を得意としており、追い風が吹いている環境にも思えるが、一体なぜか。
次ページ以降で詳しく解説する。