新型コロナウイルス禍に円安、資源・原材料の高騰、半導体不足など、日本企業にいくつもの試練が今もなお襲いかかっている。その中で企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は信越化学工業、旭化成などの「化学」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
化学業界5社で分かれた明暗
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の化学業界5社。対象期間は22年8~12月の直近の四半期(5社の対象期間はいずれも22年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・信越化学工業
増収率:39.0%(四半期の売上高7539億円)
・日本ペイントホールディングス
増収率:25.6%(四半期の売上収益3291億円)
・旭化成
増収率:7.1%(四半期の売上高6892億円)
・三菱ケミカルホールディングス
増収率:11.9%(四半期の売上収益1兆1364億円)
・東レ
増収率:9.6%(四半期の売上収益6400億円)
化学業界5社は全て前年同期比で増収となった。中でも信越化学工業は4割に迫る大増収、日本ペイントホールディングスも2割超という好調ぶりだった。しかし利益面を見てみると、5社の中では増益と減益で明暗が分かれた。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、各社の利益面を見てみる。