コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場70社超、23業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2023年1〜3月度のファストフード編だ。
マクドナルド33カ月連続増収の秘訣
ファストフードの主要3社が発表した1〜3月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯マクドナルド(日本マクドナルド)の既存店売上高
1月度:前年同月比114.6%(14.6%増)
2月度:同103.0%(3.0%増)
3月度:同106.4%(6.4%増)
◯ケンタッキー(日本KFCホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
1月度:前年同月比100.1%(0.1%増)
2月度:同105.5%(5.5%増)
3月度:同107.4%(7.4%増)
◯モスバーガー(モスフードサービス)の既存店売上高
1月度:前年同月比97.8%(2.2%減)
2月度:同102.5%(2.5%増)
3月度:同108.9%(8.9%増)
3社とも、2月度と3月度の数値に大きな差はない。違いが目立つのは、1月度の数値だ。マクドナルドが前年同月比114.6%(14.6%増)と大きく伸ばしたのに対し、ケンタッキーは前年同月比100.1%(0.1%増)でほぼ横ばい、モスバーガーは前年同月比97.8%(2.2%減)と減少している。
実はマクドナルドは、既存店売上高を20年7月から23年4月まで「34カ月連続で増収」し続けている。本稿執筆時点でモスバーガーの23年4月の数値が未公表だったので、3月までの数字でそろえているが、マクドナルドは23年4月も前年同月比109.1%(9.1%増)と増収だったのだ。コロナ禍で多くの外食産業が大ダメージを受ける中、崩れることなくずば抜けた実績を出し続けている。その「強さの秘訣」が、1月度の数値にも表れているのだ。
マクドナルドとケンタッキー、モスバーガーの違いは何だろうか? ヒントは「巧みな○○戦略」、キーワードは「大人向け」だ。次ページでは、その強さの秘訣をひも解いていく。30カ月以上に及ぶ連続増収を示したグラフも掲載しているので確認してほしい。