迷惑動画頻発と「政治の劣化」
社会の根深い構造問題に由来

 若者による迷惑動画のSNSでの拡散が止まらない。

「迷惑動画」はおバカな若者の暴走にすぎないのか?政治の劣化と共通する深刻問題若者の迷惑動画や首相秘書官の差別発言に共通するのは「身内」への承認欲求や支持獲得が優先され「社会」が意識から抜け落ちている。写真は2月の衆院予算委員会で秘書官の差別発言について陳謝する岸田首相 Photo:JIJI

 愛知県の回転寿司チェーン「くら寿司」の店舗で、しょうゆ差しのそそぎ口に口をつける動画を投稿したとして、3人の若者が威力業務妨害容疑で3月に逮捕された。

 4月にも栃木県の焼き肉店で、使用後のつまようじを容器に戻す動画を投稿したとして、2人の男が偽計業務妨害の容疑で逮捕されている。

 こうした店舗の業務を妨害する迷惑動画(不適切動画)の拡散は、「バカッター」や「バイトテロ」とよばれた2013年あたりから注目され始めたものだ。

 いかにおバカな若者であっても、ちょっと考えれば、刑事や民事の両面で法的責任を問われるかもしれないという、結果の重大性はすぐに分かりそうなものだ。にもかかわらず、一向になくなる気配がないのはなぜなのか。

 若者だけではなく、政治の世界でも首相秘書官が性的少数者(LGBTQ)や同性婚への差別発言で更迭されたりすることが起きている。

 これらは一部の無思慮な人たちの暴走にすぎないのか?しかし私はここに、日本の社会構造に由来する根の深い問題が潜んでいると思う。