「30年ぶり大幅賃上げ」でも本当に望まれるのは実質賃金の上昇Photo:PIXTA

今春闘は予想以上の好結果
連合集計で3.67%の賃上げ

 連合の第5回回答集計(4月末時点)によれば、今年の賃上げ率(定昇相当込み)は3.67%になっている。いわゆるベースアップに相当する部分だけでも2%を超えている。

 これは30年ぶりの大幅な賃上げであり、事前のエコノミストの予想を大きく上回った。

 ただし、これで「失われた30年」が終焉し日本経済の好循環がいよいよ始まるというわけではない。

 2%程度のベースアップでは、「物価に負けない」賃上げにやや近づくぐらいであり、とても「物価に勝てる」賃上げではない。

 これでは家計の実質賃金は上がらず、個人消費の拡大を通じた経済の好循環には力不足だ。

 来年の春闘でも今年と同じくらいの賃上げが続けば2%物価目標の実現の可能性が高いが、国民にとって重要なのは実質賃金の上昇だ。

 そのためには、やるべき重要な「課題」が残っている。