変動するグラフPhoto:PIXTA

米国で政府債務上限交渉に合意のめどが立てば、株式には短期的に上値トライの視界が広がるだろう。うまくすればサマーラリーに至る相場があり得るとした、前月当欄の想定がようやく形になるかもしれない。しかも、日本株が先導するかのごとくの展開である。改めてこの米日両相場の背景を踏まえ、短期から中期に至るチェックポイントを確認したい。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

慢心ラリーへの道

 当欄前月のテーマは、5月から米株式には「慢心」のラリーの可能性があるとして、その背景と留意点を解説した。ようやくその動きが、日本株が先導するかのごとくの展開で形になりつつある。

 改めて、短期相場がアヤ戻しする構図と、中期的に危うい基調について、今度は日本株、ドル円を含めて体系的に捉えておこう。

 慢心ラリーへの道は、まず3月地銀破綻問題が当局の監視下で猶予期に入り、4月後半からの企業決算、5月2~3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%利上げ、雇用統計、CPI(消費者物価指数)と、目先のハードルを一つ一つ越えることで、アク抜き感から相場が浮上する流れを想定した。

 いったん株高になると、上げ相場を追認して、あらゆる材料をポジティブに解釈する「慢心」が相場の常である。このため、経済や金融に波風立たない幸いな状況が続く限りにおいて、慢心が慢心を強化しながら、サマーラリー程度までのアヤ戻しを期待できるのではないか、というのが短期展開の読みだった。