社外取バブル2023「10160人」の全序列#3Photo:Yuichiro Chino/gettyimages

あなたが投資する会社は大丈夫?特集『社外取バブル2023「10160人」の全序列』(全11回)の#3では、純損益が赤字、かつPBR(株価純資産倍率)1倍割れで株価が「解散価値」すら下回るのに、報酬額が高い社外取締役ワースト300人の実名を公開する。株主総会シーズンを前に、「業績が悪いのに高報酬」な社外取がいないかどうかチェックしよう。ワースト10には、三井や三菱など財閥系の大物経営者が続々とランクインした。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

不振企業92社300人の実名公開
ワースト10に大物経営者がずらり

 多額の赤字を出して株価は低迷。PBR(株価純資産倍率)は1倍割れで、市場が評価する企業価値は「解散価値」すら下回る。もしそんな会社に投資をしていたら、株主として気が気ではないだろう。

「経営陣は真剣に職責を果たしているのか。会社の外から招かれ、経営のお目付け役をしている社外取締役は、本当に仕事をしているのか」。当然そんな疑問が湧いてくるはずだ。しかも、そんな駄目企業の社外取が、会社側から多額の報酬を受け取っていたら――。

 まさに、これから株主総会開催のピーク時に入る。株主として、社外取が高額報酬に見合う働きをしているかどうか厳しく精査すべき時期といえる。

 仮に、彼らが取締役会において、問題のある経営について、改善の要望や経営判断の誤りを正すような発言をしていなければ、報酬は高額な“口止め料”にほかならないといえよう。そんな社外取には、株主から見て存在する価値はないのだ。

 ちなみに、「純損益が赤字」かつ「PBRが1倍未満」の上場企業を調べたところ、199社が該当した。社外取の人数は計589人である。

 今回のランキングでは、当該企業の推計報酬額、兼務社数、兼務先も含めた推計報酬額の合計、PBR、純損益の五つを評価軸として設定した。駄目企業の社外取なので、報酬額と兼務社数は多いほど低く配点。総得点が低い順にワースト社外取300人(企業数は92社)をピックアップした。

 ワースト10の社外取には、三井や三菱などの財閥系の大物経営者が続々とランクインする結果となった。会社のトップとして、それなりに経営経験がある人ばかりのはずなのに、うだつの上がらない企業に来たら何もできない実態が判明。そもそも彼らは元経営者として、経験と知見をうたっていいのかと、疑問を呈する結果になった。

 それでは次ページで、企業名と社外取の実名に加え、受け取った報酬についても見ていこう。