スズキPhoto:123RF

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はトヨタ自動車、ホンダなどの「自動車」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

日産・スズキ・SUBARUが
2~3割の大幅増収で「トヨタ・ホンダ超え」

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の自動車業界5社。対象期間は2022年11月~23年3月の直近四半期(5社いずれも23年1~3月期)としている。

各社の増収率は、以下の通りだった。

・トヨタ自動車
 増収率:19.4%(四半期の営業収益9兆6903億円)
・ホンダ
 増収率:13.1%(四半期の売上収益4兆3842億円)
・日産自動車
 増収率:36.4%(四半期の売上高3兆970億円)
・スズキ
 増収率:23.6%(四半期の売上高1兆2288億円)
・SUBARU
 増収率:31.1%(四半期の売上収益9665億円)

 前四半期に引き続き、自動車業界5社はいずれも2桁増収を達成した。

 中でも、日産自動車・スズキ・SUBARUの3社は2割超~3割超の大幅増収を果たし、トヨタ自動車・ホンダの“2強”を増収率で上回った。

 この3社は、1年前(22年1~3月期)の時点では新型コロナウイルス禍からの立て直しに苦戦し、増収率はトヨタ自動車・ホンダの後塵(こうじん)を拝していたが、そこから盛り返した形だ。

 日産自動車・スズキ・SUBARUは、23年3月期の通期決算でも増収増益で着地。トヨタ自動車とホンダが、資材価格高騰などの影響で営業減益・最終減益となる中で、復活を強く印象付けた。

 3社の好調要因は何だったのか。次ページ以降では各社の増収率の推移と併せて、日産自動車・スズキ・SUBARUの業績について詳しく解説する。