決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏#21Photo:PIXTA

企業の重要情報を入手できる資料はたくさんあるが、100ページを超えることもざらにある「有価証券報告書」に目を通したことがある人は少ないのではないだろうか。しかし、分量に圧倒されて敬遠するのはもったいない。実は、意外な企業の内情が赤裸々に明かされていることもあるからだ。『決算書で読み解く! ニュースの裏側 2023夏』(全27回)の#21では、その実例をご紹介する。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

「週刊ダイヤモンド」2023年6月24日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

意外と刺激的な
有価証券報告書の中身

 本記事では、「財務3表」と呼ばれる損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)以外にも企業の重要情報をゲットできる資料があることを紹介したい。

 特に注目したいのが、有価証券報告書(有報)だ。100ページを超えるものもざらにあるが、分量に圧倒されて敬遠するのはもったいない。社内ではタブーになりがちな経営者の「後継者問題」を遠慮なしに指摘していたり、時には大不祥事の発覚前にその内情が有報に漏れ出ていたりしたこともある、意外に刺激的な資料なのだ。

 そこで今回は、その実例をご紹介しよう。一つは、ニデック(旧日本電産)の創業者である永守重信氏の後継者問題に関する指摘。もう一つは、大王製紙の創業家3代目で社長・会長を務めた井川意高氏が、106億円をカジノで“熔かした”一大スキャンダルについてだ。事件発覚前の時点で、有報に内情が表れていたのだ。