LINEが証券ビジネスから撤退する。スマートフォン専業のLINE証券は、証券口座を野村證券に移管し、FXに特化する方針だ。証券最大手と国民的コミュニケーションアプリがタッグを組んで始めた新しいスタイルのインターネット証券ビジネスには、ネット証券業界では“常識”のある要素が欠けていた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
LINE銀行は中止、証券は野村に移管
総口座数150万でも赤字のワケは?
「LINE証券の事業再編に関するお知らせ」――。
6月12日、LINEと野村ホールディングス(HD)が同時にリリースした内容は、3月にLINEやみずほフィナンシャルグループ(FG)などが公表した「LINEバンク」計画の中止とはまた異なる、一見分かりにくいものだった。
LINE証券はLINE傘下のLINEフィナンシャルが51%、野村HDが49%を出資するスマートフォン専業インターネット証券だ。2019年8月にサービスをスタートしたが、今回の事業再編で、株式の取引を野村證券に移管することが決まった。LINE証券はFXの取引サービスに特化した証券会社として存続し、野村HDの出資も変わらない。
LINE証券は19年12月期に39億円、21年3月期に153億円、22年3月期に105億円の最終赤字を計上するなど業績不振だったが、ネット証券の常識からすると、この結果はむしろ当たり前ともいえる。
22年9月末で総口座数150万を超えたLINE証券はなぜ振るわず、株式取引から撤退する事態となったのか。次ページで明らかにする。