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アパートなどを所有者から一括して借り上げて入居者に貸すサブリース会社をめぐるトラブルがいまだに絶えない。今回はトラブルに巻き込まれた2人の不動産所有者のケースをもとに、サブリース契約の3つのデメリットについて解説したい。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)

サブリース会社による
さまざまな中抜きの「手口」

 サブリースとは、転貸借全般を指す用語で、一般的に収益不動産の一括借り上げのことを指します。マンションやアパートなどの賃貸不動産の所有者が、空室リスクなどを避けるため、いったんサブリース会社に不動産を貸し、サブリース会社に客付けや管理などの面倒なことをやってもらうというものです。今では多くの不動産オーナーが利用している仕組みです。

 ところがコロナ前、業界内に激震が走りました。大手サブリース会社が物件の一部で、当初約束した家賃を、約束からわずか数年で、強制的に「引き下げた」ためです。このような目に遭った不動産所有者の中には、銀行借り入れをして不動産を購入した人もいたため、家賃を引き下げで「借り入れと賃料収入との収支がマイナス」になってしまった方も続出しました。

 前回の記事で、私がサブリースで苦境に陥った不動産所有者の事例を2つ取り上げたところ、多くの方からの反響をいただきました。そこで今回はもう少しサブリース全般の問題点を掘り下げてみたいと思います。

 所有者がいったん、サブリース会社に貸して「後の面倒なことはサブリース会社にやってもらう」という、一見便利に見えるこの仕組み。もちろん商売ですから、サブリース会社(もしくはその関連会社である管理会社)がもうかるようになっています。当然、所有者はサブリース会社に手間賃を払うことになりますので収益は減少します。不動産所有者が払う手間賃とはいわゆる「中抜き」というものです。

 そもそも当時話題となったのは「安普請の家(割高な建物)を建てさせられる」という点。コロナ前に話題となった某上場企業の欠陥建築問題はまさにこの話です。つまり高いお金を払って安普請の家を建てさせられる。そして建築後、中抜きが始まります。まずは賃料を業者によって15~20%程度中抜きされます。

 サブリース会社は一般の賃借人から例えば10万円の家賃を取ったとします。そして不動産所有者には8万円を支払うことで2万円中抜きできるということです。そして賃借人が退去したので「リフォームしましょう、クーラーを新しいものに変えましょう」ということで、工事費や設備費を中抜きされます。