2050年までに失われる総労働時間

需要が失われた30年から供給が失われる30年へ、労働力不足の解消が急務に2050年までに失われる総労働時間 *国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を基にみずほ証券が試算

 過去の記憶として葬り去られつつある「失われた30年」。1990年以降を振り返ると、バブルの崩壊、その後は不良債権問題により金融機能が低下した。同時にグローバリゼーションが広がり、空洞化が進展した。このような多くの要因から発生した劇的な需要不足が、日本経済の長期停滞を演出した。

 今は幸か不幸か、長年の賃金低迷と近年進展した円安の結果として日本人の労働コストが相対的に安価となり、空洞化は止まった。コロナ禍を受け、再び苛烈な需要不足が生じたものの、経済再開により需要が正常化している。

 こうして、日本経済の問題は成長の天井を規定する供給側に移った。実は需要不足の陰で、供給能力の劣化は着実に進展している。