植田和男日銀総裁Photo:Bloomberg/gettyimages

歴史的物価高騰は最悪期脱したか?
6月CPI、日本は米国上回る+3.3%上昇

 米労働省が7月12日に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、事前の予想を下回り、総合CPIの前年比上昇率は+3.0%と12カ月連続で低下し、2年3カ月ぶりの低水準となった。

 一方で同月21日に発表された日本の消費者物価指数は、総合、コアCPI(除く生鮮食品)ともに前年同月比+3.3%となり、15カ月連続で2%の物価目標を超え、その結果、米国のCPI上昇率が日本を下回る「日米逆転」となった。

 中長期のインフレ期待(予想物価上昇率)も、米国は比較的安定した水準で推移しているのに対して、日本ではとりわけ個人のインフレ期待が大幅に上昇し足元では+5.0%まで達している。

 米FRB(連邦準備制度理事会)は7月FOMC(連邦公開市場委員会)で0.25%の追加利上げを決めたが、昨年3月からの利上げ局面は最終段階とみる見方が有力だ。

 一方で日本銀行は27~28日の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の運用「柔軟化」を決めた。

 コロナ禍からの経済回復やウクライナ戦争などを機にした歴史的な物価高騰は最悪期を脱したのかどうか。日本の場合は、政策運営はこれからがいよいよ難しいかじ取りだ。