ANAホールディングス(HD)が2024年2月から国際線の新ブランド「エアージャパン」を運航させる。まずは成田とバンコクを結ぶ路線を就航する。エアージャパンはLCCとフルサービスの間の価格やサービスを提供するなど競合とは異なる独自戦略を打ち出している。エアージャパンの峯口秀喜社長に、激戦区のアジア市場での成算を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 梅野 悠)
まずは成田―バンコク路線から
初期の価格はインパクトを重視
――今月初旬に最初の就航路線として成田―バンコク線を発表しました。足元の予約状況をお聞かせください。
成田発の便は、今既に結構予約をいただいておりまして、うれしい限りです。予想以上の反響があります。
今月末にバンコクでも発表会をやるので、それまでにタイ当局の許認可が得られれば、タイ発の便も予約受付を始めたいと思います。
――なぜ最初の路線としてバンコクを選んだのでしょうか。
バンコク路線では、タイ航空や、現地の新しい航空会社も就航します。またフルサービス・キャリア(FSC)のANAやJALはもちろん、(JAL傘下のLCCである)ジップエアなど競合がひしめき合っています。
ですが、新型コロナ禍前もバンコクからの訪日旅行客は非常に好調でした。タイは経済の成長が続き、また親日的です。そして、日本にはタイにはない四季もあり、人気があります。
また日本人も特に女性のタイ人気が高く、エステやタイ料理を目当てにしたリピーターも少なくありません。日本人とタイ人の両方の需要が見込めると考えています。
需要の大きいマーケットですから、しっかりしたものを提供できれば、需要を十分取り込めると考えています。
――価格戦略について、大人片道1万5500円からとなっています。この運賃水準は今後しばらく維持するのでしょうか。
ANAやJALは需要を喚起する意味合いで、国内線で7000円や6000円といったセール運賃を出しました。我々も初めて飛ぶわけですから、注目度も含めて、ある程度インパクトのある運賃を出していかなければいけません。
例えば、東京から福岡まで新幹線で行くと2万円強くらいです。一方で、東京からバンコクが1万円台からとなると、目を引きます。
ですが、今後もずっとその価格を固定するかというと、物価も上がっていますから、状況を見ながらになります。インパクトを出しながらも、成長する上ではしっかり利益も出していかなければならないわけですから、価格への利用者の目線も見ながらそこは考えていきます。
――競合がひしめくアジア市場で、後発としてどうやって勝ちますか。