ウクライナ戦争泥沼化、「台湾有事」回避に外交は機能するのかPhoto:Anadolu Agency/gettyimages

軍備増強、抑止力強化に走る世界
NATO、日本は国防予算GDP比2%

 ロシアのウクライナ侵攻から1年半がたつが、和平や問題解決の展望はまったく見えない状況だ。それどころか、各国は抑止力強化に走る。

 これまで先進民主主義国として、実質的には西側と同一歩調を取りながら国境を接するロシアの脅威に対して中立政策をとってきたフィンランドやスウェーデンは、長く続いた中立政策を捨て、NATO加盟に走った。

 NATO諸国自身も冷戦終了時には「平和の配当」として低いレベルの国防予算を維持してきたが、今や「最低でもGDP比2%」の水準の予算増額に合意している。

「今日のウクライナは明日の東アジア」とばかり、日本も2027年までにGDP比2%の防衛予算を確保するという飛躍的な防衛予算拡大に踏み切った。

 一方で、平和維持のための有力な手段と考えられてきた経済などの相互依存関係拡大の勢いも止まった。

 米中対立、さらにウクライナ戦争を機に世界は対立と分断が進むなか、外交の影は薄い。

 中国の膨張やロシアの侵略を止められず、今もウクライナ戦争が続いているのは外交が機能していないからではないか。

 日本の安全保障の最大の懸案である「台湾有事」を防げるのかにも、不安が募る。