「最近、髪の毛が薄くなってきた」「親のように、将来自分も毛がなくなってしまうのでは」と、不安を感じている人は必見! 薄毛になる原因や予防、対策法について、医師が徹底的に解説します。正確な知識をもつことで、今からできることはまだまだたくさんあります。より適切な方法を選択することで、あなたの大切な髪の毛を守ることができるはずです。(取材・文/一般社団法人日本化粧品検定協会認定コスメライター 松本真奈)
なぜ「薄毛」になってしまうのか?
男性が知っておくべき2つの原因
髪の毛が減ったことで、頭皮の地肌が見えてきてしまう状態を「薄毛」といいます。なぜ男性は年齢を重ねると、薄毛になりやすいのでしょうか。多くの患者の発毛治療に当たってきた駅前AGAクリニック院長の長谷川誠先生に、その原因と対策を伺いました。
「薄毛の原因にはさまざまありますが、もっとも頻度が高いのは、ホルモンと血管障害による脱毛症です。男性では男性型脱毛症、またはAGA(androgenic alopecia)と呼ばれます。若者からお年寄りまで含めて、全男性の30%程度がAGAの症状を持っていて、年齢が上がるごとにその発症頻度が上がってきます」
AGAは男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)がその原因として大きく関わってくることがわかっています。ホルモン量は、どのように薄毛に関係するのでしょうか。
「血液中の男性ホルモンの量(濃度)が多いほど、薄毛リスクが高くなることはわかってきています。しかし、ホルモン量だけで決まるものではなく、ホルモンの影響を受けやすい体質かどうかということが、重要な要素です。その体質は、遺伝によるものが大きいのですが、絶対的なものではありません。顔が似ている親子もいれば、似ていない親子もいますよね。これと同じことです」
そのため、同じ親から生まれた兄弟でも、薄毛の人と薄毛でない人にわかれることがあります。
父親や兄が薄毛だから将来自分も必ず薄毛になる…とは限らないし、逆に薄毛でない家系のはずと思っていたのに薄毛になってしまう…ということもありえるということですね。
「もう一つの原因が、血管障害によるもの。動脈硬化等の血管障害が、薄毛の原因になることがあります。具体的には、タバコ、食生活や運動などの生活習慣、高血圧や糖尿病などの持病による血管障害が、薄毛につながることもあります」
AGAの原因には血管障害とホルモンの2つの要素があることがわかりましたが、「たいていの場合は、両方の要素を多かれ少なかれ、合わせてもつ傾向にある」とのこと。
それでは、AGAによる脱毛の特徴を見ていきましょう。AGAの進行パターンは、専門医の間では有名な「ハミルトン・ノーウッド分類」で細かく分類されています。