マスクを着けた人も減り、昨年2022年とは社会の景色がすっかり変わった2023年の夏――4月に入社した新入社員たちも、それぞれの職場や仕事に慣れつつあった。そうした複数の企業のフレッシャーズを対象に、入社3カ月後(2023年7月時点)の“新入社員フォロー研修”が行われると聞き、「HRオンライン」は都内の研修会場を訪ねた。“配属後の自分自身の変化を振り返る”というワークから始まった研修、はたして、その内容は……。(フリーライター 狩野南、ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/HRオンライン)
入社3カ月の新入社員が一堂に会した研修
今年2023年4月初頭に行われた、企業・団体の新卒入社者向けの「『フレッシャーズ・コース2023』を活用した自律型新入社員研修」――例年、「フレッシャーズ・コース(*1)」を活用した新入社員研修は、4月以降、7月・10月、翌年2月という計3回の“フォロー研修”が用意されている。その第1回にあたる「『フレッシャーズ・コース2023』を活用した新入社員フォロー研修」が、7月中旬の都内某所で1日のプログラムとして行われた。4月の研修は対面とオンラインの2通りだったが、この日は、受講者がひとつの会場に足を運ぶ、集合型研修。そして、複数の企業の社員が混合で受講する「公開型」である点は4月の新入社員研修と同じだった。
*1 「フレッシャーズ・コース」(ダイヤモンド社)は、全7巻ワンセットの新卒内定者フォロー教材。毎月1巻ずつ6カ月間、継続した内定者フォローが可能になっている。
研修のテーマは、「現場で役立つ汎用スキルの習得」。研修受講者たちが内定期間中に学んだ教材「フレッシャーズ・コース2023」(以下、「FC」)を引き続き活用しながら、新入社員として必要なビジネスの基礎知識やスキル、働くうえでの意識・心構えを定着させるのがねらいとなっている。私は、4月の新入社員研修は、対面とオンラインのどちらも取材していたが、フォロー研修は今回が初めてだった。入社後3カ月を経た新入社員たちは、いまどんな思いで日々の仕事に向き合っているのか、そして、研修からどのような成果を得て、それぞれの職場に戻っていくのか。
この日の研修には、5社21名が参加。研修開始の10分前には、全員が集合し、4人ずつの4グループ、5人の1グループに分かれ、机を囲んで着席した。受講者たちは4月の新入社員研修に全員が参加していたものの、企業の組み合わせが4月とは異なるため、受講者どうしは、同じ会社の同期以外は初対面だった。また、同じ会社の者は同じグループには配置されず、より多様な相手と知り合い、交流できるように配慮されていた。
開始時刻の午前10時、この日の研修講師である内山厳さん(*2)が、受講者たちの前に立ち、「この研修では、講義よりも、対話で学ぶことを大切にしています」とメッセージした。そして、「『職場でこういうことをやっていこう』と、この研修を通じて考えられるようになることが大切です」と、言葉を継いだ。
*2 内山厳講師は、「『フレッシャーズ・コース』を活用した新入社員研修」の開発者。G office 代表。青山学院大学 プロジェクト教授。
今回の研修には、専用のテキストが用意され、その1ページ目に、研修目的が「ビジネスの基礎知識や心構えを定着させること」と明記されていた。内山講師は、そのことに触れ、「学びを通して、将来、『なって良かった』と思える自分になれるよう、キャリアをつなげていってほしいです」と語った。次に、学習目標の提示とともに、「キャリアデザイン」についての解説があったが、私には、「キャリアを事前に完全にデザインをするのは不可能」「時には状況に流されることも大切」というフレーズが印象に残った。研修会場にいる新入社員たちは、入社してからの3カ月間、必死に業務を覚えながら、自分の能力不足を感じたり、将来に不安を覚えたりしたことだろう。そんな彼ら彼女たちに、「時には状況に流されることも大切」といったフレーズは安心感を与えるように思えたからだ。今回の研修は、社会人として無我夢中に走ってきた新入社員が立ち止まり、改めて仕事について考える機会になるはずだ。
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新卒社員の入社時研修レポート(「HRオンライン」2023年6月22日配信)
いまどきの新卒社員がオンラインでの“新入社員研修”で学んだこと
今年2023年4月、「HRオンライン」は、オンラインで行われた、2日間にわたる新入社員研修(『フレッシャーズ・コース2023』を活用した自律型新入社員研修)を取材した。Z世代の新入社員たちは、オンラインで、何を学び、それぞれの仕事に就いたのか?