新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
牛丼は続々値上げ
すき家は牛丼以外も好調
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは23年4~6月、吉野家ホールディングスは23年3~5月)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ゼンショーホールディングス(すき家)
増収率:20.2%(四半期の売上高2144億円)
・吉野家ホールディングス
増収率:9.9%(四半期の売上高443億円)
・松屋フーズホールディングス
増収率: 12.5%(四半期の売上高281億円)
牛丼3社全てが増収で、中でもゼンショーホールディングスが増収率20.2%という大幅増収だった。さらに利益面も大幅な増益となっていて、他の2社に大きな差をつけている。
とはいえ、吉野家ホールディングスも松屋フーズホールディングスも好調だ。外食業界はコロナ禍が収束に近づきつつあることから、急速に客足が回復傾向にあるからだ。
一方で、営業時間短縮に伴う時短協力金がなくなるなど、経営を取り巻く環境の変化を受けている。さらに、22年から原材料費や光熱費などの高騰の影響を受けていて、利益面は必ずしも盤石とは言えない状況のようだ。牛丼3社の中で格差が生じており、大増益を果たした会社もあれば、営業利益・純利益が「ダブル赤字」に陥った会社もあった。
では、どこが勝ち組で、どこが負け組なのか。
次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、それらを詳しく解説する。