阪神タイガースのリーグ優勝で、阪神百貨店梅田本店の優勝セールが大盛り上がりだ。一方、100メートルほどしか離れていない阪急百貨店うめだ本店では優勝セールを行わず、静観しているという。両店を徹底比較すると、驚きの「キャラの違い」が見えてきた。(乗り物ライター 宮武和多哉)
悲願の「アレ」(優勝)達成!
阪神百貨店はセールで大賑わい
2023年9月14日20時49分、阪神甲子園球場で阪神タイガースが読売ジャイアンツに勝利した。この瞬間、同球団の18年ぶりのセントラル・リーグ優勝が決定し、歓喜の胴上げが行われ、岡田彰布監督はグランドで6度も宙に舞った。
「阪神百貨店梅田本店」(以下:梅田阪神)では、翌日から「祝・リーグ優勝 阪神タイガースご声援感謝セール」を開催。応援歌「六甲おろし」がかかる店内でくす玉割りが行われ、早朝から行列を作って待ち構えた2000人以上の人々が、開店と同時にセールの目玉商品を奪い合った。梅田阪神では「前回(05年)の優勝セールは約30億円を売り上げた。今回も相当な経済効果が期待できる」と意気込んでいるという。
タイガースの優勝セールなど、何かとマスコミの露出も多い梅田阪神。百貨店としてもさぞかしすごいだろう!と思いがちだが、同店の年間売り上げは553億円 。関西の百貨店売り上げでトップを走り続ける「阪急百貨店うめだ本店」(以下:梅田阪急)には遠く及ばず、関西の百貨店売り上げの上位5位にすら入っていない(データはいずれも22年3月期)。
梅田阪急の年間売り上げは2610億円、全国でも東京の「伊勢丹新宿本店」に次ぐ2番手をキープしている。梅田阪神とは、交差点を挟んで直線距離100メートルほどしか離れていない。
現在では両店ともエイチ・ツー・オーリテイリング傘下の株式会社阪急阪神百貨店が運営しているが、過去にはライバル意識を隠そうともせず、互いに「梅田百貨店戦争」を戦ってきた関係にある。今でも梅田阪急と梅田阪神は、うっすらと一線を引いている感があり、阪急側は優勝セールには参加せず、店内サイネージでお祝いメッセージを流す程度にとどめるという。
阪神タイガースの優勝セールで盛り上がる梅田阪神。一方でセールを静観する梅田阪急。百貨店業界が縮小の局面にある中、2店はどういった強みを持ち、至近距離ですみ分けているのだろうか? あわせて「阪神乗っ取り騒動」を含めた経営統合のいきさつも振り返ってみよう。