日本株はじめ世界の株は、引き続き底堅く推移している。コロナ以来、私はインフレ対策のために資産運用をすべき時代に移行したと申し上げてきた。特に富裕層に関しては「もうかるので資産運用しましょう」ではなく、「インフレ下の資産ヘッジのために運用すべきだ」と考えているし、実際、富裕層の多くは今も日本株を買い続けている。そこでインフレ下の資産運用として、現在の3万3000円前後の水準でも日本株投資を選ぶべき二つの理由について解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
インフレ対策としての
三つの投資先
日銀は現在、持続的なインフレ目標としての2%達成を目標としているが、現時点で既に2%を達成している。しかし当局はこれを一時的なものと捉えており、持続的な賃金上昇が伴わないとデフレに逆戻りすると考えている。
実際直近の賃金データの上昇は鈍っているため、物価上昇(生活費の上昇)→賃金上昇→物価上昇(生活費の上昇)→賃金上昇というインフレによる好循環が続くかどうかを見極めたい、来年の賃金上昇はストップがかかるかもしれないし金融緩和はやめられないというところなのだろう。
日銀がどういう政策判断をしようが、現実問題として我々は物価上昇を日々実感している。こうした中、「賃金が上がるかどうか」という外部要因に頼るのではなく、インフレ対策として資産運用せざるを得ない。
実際、2%の物価上昇が10年続けば、1000万円のタンス預金があっても、その価値は820万円に減少してしまう。
インフレ対策としては、原則「株、不動産、金」が従来のセオリーだ(今後は暗号資産やNFTアートなども選択肢に入ってくるとは思うが)。
では、株、不動産、金のいずれに投資するのがよいのだろうか。