ハーバードビジネススクールのチャールズ・ワン教授は、近年日本市場への投資に興味を示す学生が増えていると話す。日本企業が後れを取っていたコーポレートガバナンス改革への期待が高まっているという。一方で、改革の進展に懐疑的な見方も根強い。企業の改革を妨げる「日本特有の要因」とは何か、ワン教授に聞いた。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
「日本へ投資したい」
ハーバードの学生が増えている
佐藤智恵 ワン教授がハーバードビジネススクールで担当している講座では、『みさき投資とサンゲツ』(Misaki Capital and Sangetsu Corporation)という教材をもとに、日本経済の潜在能力と課題について議論するそうですね。学生は日本市場への投資にどの程度の興味を持っているのでしょうか。
チャールズ・ワン 過去6年間にわたって、みさき投資の事例を教えていますが、ここ数年、日本市場への投資に興味を示す学生が増えているのは面白い現象です。
授業の冒頭で、「皆さんがハーバード大学のエンダウメントファンド(寄付基金)の運用責任者だったら、日本市場に投資しますか」と学生に質問すると、6年前は手を挙げる学生はほとんどいませんでしたが、最近は手を挙げる学生が増えてきています。
佐藤 近年、学生の間で日本市場への興味が増している理由は何でしょうか。
ワン 「日本へ投資したい」という学生が増えている要因について、私なりの分析をお伝えしたいと思います。
まず一つは、日本市場に成長の可能性があるのではないかと思えるような明るいニュースがアメリカでも報道されていること。その最たるものが、ウォーレン・バフェット氏が日本の五大商社に投資をしたことです。