年々増え続ける空き家が大きな社会課題になっている。これまでは相続や所有権などが複雑に絡み合い、なかなか手が付けにくい状況だったが、これをDXで解決しようという動きが出てきた。企業と国や自治体が連携した新たなスキームを探る。
20年でほぼ倍に増えた
居住目的のない空き家
空き家問題は、想像以上に深刻な状況になっている。
国土交通省の資料によると、空き家には、1.別荘およびたまに寝泊まりする人がいる二次的住宅、2.新築・中古を問わず、賃貸または売却のために今は空き家になっている住宅、3.居住目的のない空き家の3種類があり、問題視されている「空き家」は「3」に当たる。
居住目的のない家は、長期にわたり居住者が不在で、適切に管理されていない場合が多い。そのため劣化による家屋の倒壊や不審者・動物などが出入りし、火災の発生や治安の悪化の要因となり、近隣の生活を脅かす存在になりかねない。
では現在、空き家はどのくらいあるのだろうか。総務省の住宅・土地統計調査(図1)によると、空き家の総数は、1998年の576万戸から2018年には849万戸と、約1.5倍に増えている。この数字は、総住宅数6240万戸の13.6%にも上る。さらに居住目的のない空き家は、182万戸から349万戸と約1.92倍に急増。
その内訳は、一戸建てが72.2%で、全空き家の3分の2以上を占めている。また居住目的のない空き家の4分の3以上が、新耐震基準が定められた1981年以前の建築で、すでに腐朽や破損のある空き家が約101万戸もある。
今後の予測を見ると、さらに厳しい数字が出てくる。居住目的のない空き家は2030年には470万戸と予想されているのだ。