自宅学習において頼りになる家庭教師だが、その質は玉石混交だ。特集『わが子が成長する 中高一貫校&塾』(全34回)の#5では、キャンセル待ちが続く家庭教師の齊藤美琴氏に、上手な家庭教師の活用法や、志望校合格から逆算した勉強法について聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
「SSランクだから安心」ではなく
子どもとの相性を確認しよう
──家庭教師の上手な頼み方を教えてください。
まずは目的をきっちり決めることですね。分からない問題の解き方を解説するだけなら学生の家庭教師でもいいでしょう。しかし、方針を決めて導いてほしい場合であればプロの家庭教師という選択になります。
依頼は、家庭で対応できていることと、できていないことが分かったタイミングがベスト。すでに手いっぱいで、コップから水が溢れ出している状態だと、何を頼んでいいのか整理するのも難しいからです。
家庭教師との相性も重要です。SSランクの高単価のプロ家庭教師に頼んで安心するのではなく、子どもが楽しそうに勉強しているかどうかを確認しましょう。
学生の家庭教師は「伴走」にお勧めです。憧れの中高一貫校を経て一流大学に通う、年齢の近いお兄さん、お姉さんが横について、「はい、次やるよ」と背中を押してくれる効果は小さくありません。
ただし、中学受験経験者であるかどうかはチェックしておきましょう。高学歴でも、中学受験に価値を感じていない大学生の場合、寄り添う熱度が低いケースがあるからです。
忘れてほしくないのは、子どもにもプライドがあること。小学5年生、6年生にもなると、「成績が悪いから家庭教師を呼んだのかな」と感じて、劣等感を抱く子もいます。子どもが納得しているということが、スタート段階ではすごく大事です。
──逆にマイナス面や気を付けることはありますか。
家庭学習が家庭教師ありきになってしまうのは良くないですね。先生が来ないと勉強しない、ということには絶対になってほしくない。
私の場合、困ったときには呼べるという関係性づくりはしておきつつ、徐々に独り立ちすること、つまりレッスン頻度が減るのは良いこと、と伝えています。
──4年生の段階から宿題が回らないという声も聞きますが……。
次ページでは「家庭教師だけで中学受験に合格することは可能なのか?」「短期のレッスンで効果的に成績を伸ばす方法は?」など、実際の成功例と共に、中学受験を逆転合格に導く家庭教師活用術を伝授する。