活動内容の3本の柱
反響を呼ぶ政策提言

 建設DX研究所の活動内容は主に3つある。1つ目は最新の政策や最先端テクノロジーに関する情報発信、2つ目は建設DXベンチャーや官公庁、学会などと連携した勉強会の開催、3つ目は関係省庁や国会議員などへの政策提言だ。

 23年5月に、主に3つの柱からなる提言を行っている。1つ目は現場でのDXの推進、具体的にはリモートで現場を管理できる「遠隔臨場」の推進だ。これにより、特に小規模現場において、現場監督などの移動の負担が大幅に軽減する。2つ目は行政手続きのDXだ。

「建設事業者の監督業務の6割は書類仕事だといわれるくらい、非常に多くの時間を取られています。特に行政へ提出する必要のある書類の種類が多く、しかも紙ベースのものが多いのが現状です。加えて、国や県、市町村など発注者ごとに書類の様式が異なるため、それを統一してオンライン化するだけで、もっと効率のいい仕事ができるのではないでしょうか」

 3つ目は新技術や建築BIMの活用の推進だ。BIMもまだ現場レベルでは浸透していないため、支援を加速してもらいたいという内容である。

 こうした建設DX研究所の活動は、業界内でも反響があり、さまざまな企業から問い合わせが届いているという。

「ものづくりの魅力こそが、本来建設業界が持っている魅力なのです。建設業が人で成り立っているという原点に立ち返り、若い人がここで働きたい、こんな仕事がしたいと思えるような魅力的な産業にしていくことが、大切だと考えています」

建築BIM:コンピューター上に作成した3次元の建物モデルにコストや管理情報などの属性データを追加したデータベース。