世界三大投資家と称される著名投資家のジム・ロジャーズ氏を、国際ジャーナリストの大野和基氏が直撃。ジム・ロジャーズ氏は「日本株は史上最高値に戻るかもしれない」としながらも、このタイミングで「日本株を全て売って大もうけした」という。なぜ今、売ったのか。真意に迫る。(投資家 ジム・ロジャーズ 取材・構成/国際ジャーナリスト 大野和基)
インフレの最大要因は
戦争よりも、お金の刷りすぎ
日本では現在、欧米と同じように国民がインフレに悩まされています。賃金が上昇してもインフレ率に追いついていないため、実質賃金は下がっています。
このインフレは、ウクライナで起きている戦争や円安による物価上昇が原因であるとよく言われます。しかし私の見立ては、単にウクライナでの戦争によるものではありません。
米国政府は莫大なお金を刷りまくっています。日本政府はもっとたくさん刷っています。お金の刷り過ぎは世界中で起きており、特に日本と米国は顕著。私に言わせれば、インフレの最大の要因はお金の刷り過ぎなのです。
このインフレは誰にとっても痛手であり、日本にとっても痛手であることは間違いありません。日本はかねて、ビジネスをするのにすこぶる高コストな国でした。そして今はインフレにも見舞われている。インフレは日本の競争力を低下させ、日本国民が商品を購入するのに不利になります。
1ドル=200円を超える可能性は高い
円安を投資に生かす方法は
日本は食料品や銅などの鉱物資源をはじめ、多くのものを輸入しており、円安によってそれらの価格が上昇する。それは日本にとって良い状況ではありません。誰にとっても良くないのですが、特に日本にとって良くない状況です。
円安については、私は1ドル=300円を超えていたころを覚えています。円にとっては悪い時代でした。日本は莫大な国の借金を抱えており、おまけにお金を刷りまくっているので、さらに円は下落するかもしれません。今は1ドル=150円くらいですが、円安が落ち着くまでにもっとドルが高くなる可能性があります。
日本経済が好調であったときも1ドル=300円を超えていたのですから、これから1ドル=200円よりずっと高くなる可能性はあります。今週そのときが来るとは言いませんが、ゆくゆくはそうなるでしょう。
では投資の視点から、この円安をいかに生かせばいいのか、私が日本人だったら何を買うのか、お話ししましょう。