慶應義塾の「最高幹部」である評議員に選ばれることはOBにとって最高のステータスである。長期にわたり評議員の座を占める大物経営者も多い。10回超にわたり公開予定の特集『最強学閥「慶應三田会」 人脈・金・序列』の#2では、教職員などを除いた評議員76人の在任期間ランキングを紹介する。最長はなんと44年。サントリーホールディングスや三井不動産、大正製薬ホールディングスの首脳ら23人が在任20年以上となった。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
評議員の平均年齢は70歳超
85歳以上で実質「定年」も
「大してメリットがあるわけではない。やっぱり栄誉だよね」
慶應義塾のある評議員はそう打ち明ける。OBにとって、卒業生39万人に上る巨大学閥のトップに君臨する「最高幹部」であることは最高のステータスなのだ。
一方、評議員の座を長く占める人物も多い。評議員の平均年齢は70歳を超え、「長老支配」と指摘されることもあるのはこのためだ。
評議員の任期に定めはないが、実は不文律が存在する。別の評議員が明かす。「新しい任期のスタート時に85歳を超えている場合は就任できない」。つまり、85歳を超えると、評議員に手を挙げることはできなくなるのだ。
さながら「定年制」だが、そのバーは高く、世代交代が進みにくいのが事実だ。高齢のため任期中に死去する評議員も少なくない。
例えば、現在の第35期では、ENEOSホールディングス名誉顧問の渡文明氏や島津製作所相談役の矢嶋英敏氏らが、2018年に評議員に就いたが任期を全うできずに亡くなっている。
では、それぞれの評議員の在任期間の実態とは。評議員は塾長の選任など重要事項を最終決定する立場にありながら、在任期間が公にされることはほぼない。
そこで、ダイヤモンド編集部では、慶應義塾の機関誌「三田評論」などを基に、教職員など関係者を除く現在の評議員メンバーの在任期間をまとめた。
次ページでは、評議員76人の在任期間ランキングを紹介する。ランキングの首位はオーナー企業経営者でなんと44年。サントリーホールディングスや三井不動産、大正製薬ホールディングスの首脳ら全体の3割が在任20年以上だった。