イスラム組織ハマスがイスラエルへの奇襲攻撃を仕掛けたことをきっかけに、パレスチナ情勢が緊迫化している。すでに米中対立やウクライナ危機などによって、これまでの世界秩序は大きく変わった。そうした中で、各企業は資源調達のあり方を再考する時期に来ている。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
世界の新秩序が模索された5年間
米中対立、コロナ、ウクライナ危機…
イスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたのをきっかけに、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザでの空爆を中心に攻撃を強化している。
直近の5年間を振り返ると、世界の秩序が見直され、新しい秩序を模索する5年間だったとまとめることができるのではないか。
大きな変化は、米中対立の顕在化、コロナショックの発生、ロシアのウクライナへの軍事侵攻である。そして、これらに中東情勢緊迫が加わった。
米中対立が深まったのは、具体的には2018年の貿易問題からとされている。
過去のニュースを振り返ると、米国が中国に対する警戒を明確に強めたのは2013年6月。当時の米オバマ大統領との対談で、習近平国家主席が「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と、ハワイの東側を米国が、西側を中国が統治するという考えを公に示してからと考えられる。
これ以降、トランプ前政権では対中関税強化が打ち出された。政治的にトランプ前大統領と対立していたバイデン大統領も、この方針を維持している。
米国の国家安全保障戦略の中で、「中国は国際秩序を再構成する意図と、それを実現する経済力、外交力、軍事力、技術力を有する唯一の競争相手」と述べており、米国と中国を軸に、新東西冷戦に突入したといえるのではないか。
これまで米国が覇権を争う対応を見ていると、恐らく中国側が諦めるまでその手を緩めることはないだろう。この頃から親米国・親中国の緩やかな対立が意識され始めた。
そして、中国と米国を含む西側諸国の対立がより決定的になったのが、世界を襲った新型コロナウイルスである。