去る9月6日、PlayStation向けのサブスクリプションサービス「PlayStation Plus」の一部プランで30%超の「大幅値上げ」が断行された。値上げから約2カ月がたち、さまざまな利用者の声が聞こえてくるが、意外にも許容する反応が少なくないようだ。一見すると強気にも思える今回の値上げは、なぜユーザーに受け入れられたのだろうか。独自調査を基にひもといた。(プライシングスタジオ代表取締役 高橋嘉尋)
サービス内容は充実も
12カ月プランで「3割超」の大幅値上げ
本稿ではソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)による、「PlayStation Plus」(以下、プレステプラス)の“大幅値上げ”の妥当性を検証していく。
プレステプラスとは、PlayStaionユーザーのために用意されている有料のサブスクリプションサービスのことだ。加入していなくてもゲームのプレイは可能だが、加入すれば追加料金なしでプレイできるゲームが増えたり、オンラインマルチプレイなどの通信サービスを楽しんだりできる。
プレステプラスにはサービス内容・料金の異なる3つのプランがあり、さらに各プランは、1カ月利用権、3カ月利用権、12カ月利用権から契約形態を選ぶことができる仕組みだ。
最もリーズナブルな「エッセンシャル」では、オンラインマルチプレイ、PS4とPS5の人気ゲームのフリープレイ、加入者限定割引などが提供される。上位プランの「エクストラ」ではそれらに加えて、数百本のPS4およびPS5のゲームが遊べる。さらに最も高価な「プレミアム」では初代PlayStaionをはじめとする過去の名作が遊べるほか、最新ゲームの期間限定トライアルなどが盛り込まれている。
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今年9月、プレステプラスを提供するSIEは、3つのプランそれぞれの12カ月利用権の価格を対象に、値上げを敢行した。
「エッセンシャル」は5143円から6800円に32.2%値上げされたほか、「エクストラ」は8600円が1万1700円(36.0%)に、「プレミアム」では1万250円から1万3900円(35.6%)へと価格が引き上げられた。
いずれも値上げ率が30%を超える大幅な価格改定であり、いささか強気な価格設定にも思える。果たして今回の値上げには妥当性があったのだろうか。いくつかの視点から考察する。