日本生命保険の中途採用で「最大年収5000万円」が話題となったが、すぐさま批判する記事が出るなど何かと物議を醸している。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#12では、日生をはじめとした大手生保のバブル期世代や氷河期世代など、世代間事情を明らかにする。さらに、生保各社の役職定年事情についても解説した。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
日本生命が中途採用で年収5000万円
批判記事に対し社内で拍手喝采
10月5日夕刻に配信された「日本経済新聞」電子版のイブニングスクープ。その見出しを見た大手生命保険会社の社員たちは一様に驚愕した。日本生命保険が中途採用を強化し、M&AやIT人材を中途採用するに当たって、「年収5000万円を提示する」と報じられたからだ。
無論、日生の社員たちも驚きを隠さない。「おいおい、役員より年収が高いじゃないか……」。
そしてその数日後、日生の社員たちの拍手喝采を博する事態が巻き起こる。同月11日に、経済評論家の山崎元氏がダイヤモンド・オンラインに書いた『日本生命の「年収5000万円」中途採用はやめた方がいい』という記事が、まさに日生の社員たちの気持ちを代弁していたからだ。
記事のポイントは大きく二つ。一つ目は、年収5000万円ではエース人材は来ず、せいぜいプレゼンテーションがうまくて面接受けのいい「一流半」の人材しか来ないというものだ。
というのも、一流の人材なら外資系金融機関で5000万円以上の年収が見込めることに加え、日生では競争相手や技術を盗む相手がいないため、自身のスキルを磨くことができないからだ。
二つ目は、「日生の社内には今、年収5000万円を払ってもいい若手・中堅社員はいないのか?」だ。年収5000万円を支払ってもいいという社員がいなければそれ自体が問題だし、数理の専門家であるアクチュアリー(保険数理人)の中にビジネスマインドを持った人材がいて、成長していれば5000万円プレーヤーになっていてもいいのでは?という点だ。
何より、同等の高年収を得る同世代の社員がいる職場環境でなければ、年収5000万円で中途入社した人物は「珍獣」扱いされてしまい、とても結果を出せるものではないと山崎氏は喝破する。
このように社内外から批判を浴びた日生の最大5000万円の中途採用。いったい日生の思惑は何なのか。ダイヤモンド編集部が入手した、日生の内部資料を次ページで明らかにしよう。加えて、日生をはじめとした大手生保4社の役職定年の実情も含めて深掘りしていこう。