どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年#13Photo:kyodonews

経済産業省で、人材流出が相次いでいる。同省は、若い職員を管理職に抜てきするなどして引き留めに躍起になっている。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#13では、経産官僚の年収や昇進時期を他省と徹底比較した。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

経産官僚は財務官僚の2倍残業し
6年も早く管理職になる

 日本の産業政策を牛耳り、半導体産業の復活のために数兆円規模の補助金をばらまくなど、政府内での存在感を高めている経済産業省は、霞が関の“花形”省庁だ。

 経産官僚は従来、財務省や外務省に劣らないほど優秀とされてきた。だが、近年、異変が起きている。「若手は他省庁より“山っ気”があるため、頑張っても報われない役所に見切りを付け、コンサルティング会社に転職するケースが多い」(経産省関係者)のだ。

 そもそも、国家公務員の志望者数の減少はとどまるところを知らない。2023年度国家公務員採用総合職試験の申込者は1万4372人と、ここ10年で3割も減った。入省5年未満の退職率は10%(16年度採用の職員)となり、3年前からは5ポイント上昇している。

 若者の公務員離れが進む中で、経産省は人材を確保するため、早ければ入省5~6年目で課長補佐に抜てきしたり、他省庁より多い報酬(超過勤務手当や出世が早いことによる役職手当など)を支払ったりしているが、人材の流出を止めるには至っていない。

 次ページでは、経産官僚の年齢別の年収や、部課長への出世のタイミングを他省庁と比較するとともに、経産官僚のモチベーションを下げている、ある意外な要因を明らかにしていく。