団塊、バブル、氷河期、ゆとり、どの世代が割を食っているのか?資産運用や人生設計、日本人論など広範なテーマに取り組み、ベストセラーを出し続けている作家の橘玲氏。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#15では、日本の社会が直面する世代間格差の問題について、橘氏が縦横無尽に論じる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
社会保障制度の改革を阻む
高齢者の分厚い票田
――『働き方2.0vs4.0』や『上級国民/下級国民』など近年の著作で、日本社会やサラリーマンの働き方に関して鋭い指摘や問題提起をしています。この20~30年の日本の世代間格差について、どのように見ていますか。
日本社会の本質的な問題は、高齢者がどんどん増えていって若い人が減っていく、人口構成の逆三角形化にあります。社会制度改革にせよ何にせよ、突き詰めて考えると、全てそこに行き着きます。
急速に増え続ける高齢者をどう支えていけばよいのか。少子高齢化が進む中、従来の社会保障制度を維持することは財政的に困難です。しかし、高齢者の票田は分厚く、選挙の結果に縛られる政治家は「年金や医療・介護を削る」とは決して言えません。
圧倒的に人数が多い団塊の世代の死活問題である社会保障制度は、誰も抜本的に手が付けられない問題です。騒ぎにならない程度に、富裕層に限って高齢者の保険料を少しだけ上げてみるなど、ごまかしみたいなことをしながら取り繕うのがせいぜいでしょう。
――まさに弥縫(びぼう)策ですが、そうやって2040年まで耐え続け、高齢化率が徐々に下がっていくのを待つしかない。こういった指摘をしていました。