どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年#18Photo:Photolibrary

『キリンの「内部資料」が物語る氷河期世代の惨状…“バブルとゆとりの板挟み”鮮明』に続き、ベストセラー作家の橘玲氏に、行き詰まりを見せている日本の人事制度の問題点について話を聞いた。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#18では、橘氏が非正規の待遇は「身分差別」であると喝破。役職定年が抱える大きな矛盾点についても、独自解説してもらった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

日本における正社員と非正規
その格差は「身分差別」に等しい

 インタビュー(2)では、キリングループの年齢別社員数グラフを題材に、団塊の世代・バブル期入社組とゆとり世代の間で板挟みになっている、就職氷河期世代の惨状を解き明かした橘玲氏。今回は、そんなロスジェネ世代の目前に迫る役職定年の大いなる矛盾について聞いた。

――橘さんは、日本の正社員と非正規は「身分差別である」と厳しく批判しています。

 世界はリベラル化の大きな潮流の中にあり、日本も例外ではありません。グローバル化によって世界中を移動する人が増え、SNSで情報発信が可能になると、人種や性別、出自など個人の努力ではどうしようもないものを理由に他人を差別することは、ものすごく嫌われるようになりました。

 オランダの雇用政策は世界で最も進んでいるといわれますが、同一労働同一賃金が徹底され、正社員と非正規、パートタイムに違いはありません。全ての労働者は働き方にかかわらず同一の扱いで、ただ勤務時間が違うだけです。

――一方、日本では、正社員と非正規の収入格差は大きいです。

 社宅や家族手当などの福利厚生でも雇用の保障でも、日本の非正規は先進国ではあり得ないような劣悪な労働条件で働かされています。「同じ仕事をすれば、身分や性別、人種などの違いにかかわらず同じ賃金を受け取れる」。これはリベラルな社会の大前提ですが、日本の労働組合はこれまで、「日本には日本人に合った働き方がある」と頑強に反対してきました。

 これは要するに、「正社員と非正規は身分が違い、人間としての価値が違う」ということでしょう。待遇の違いが合理的な理由で説明できないものは、リベラルな社会では全て差別と見なされます。

――リーマンショックや東日本大震災のようなことが起きると、真っ先に切られるのは非正規でした。ただ、社会的に問題が大きかったこともあり、非正規の現状は、ある程度認識されていて、注目もされてきた気がします。

 そういう意味では、キリンのような大企業に勤める氷河期世代の苦悩には、あまり光が当たっていなかったかもしれませんね(本特集#16『キリンの「内部資料」が物語る氷河期世代の惨状…“バブルとゆとりの板挟み”鮮明』参照)。実際は悲惨な状況にあるけれど、「正社員だから、どうせ恵まれているんでしょ」と思われて、全く同情されないから救いがない。

――そんな彼らも部長・課長世代に差し掛かり、役職定年が目前に迫ってきました。役職定年は、どのように評価されていますか。