業界団体「マンション管理業協会」によるマンションの管理状態の評価制度が始まって1年。全国で優秀な管理を行っているマンションの登録が続いている。ダイヤモンド編集部は2000件に及ぶこのデータを独自に徹底分析。築年と地域別にどんなマンションが最高位の五つ星を獲得しているのかを割り出した。特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#8では、1999年以前に建てられた「ゴールド管理マンション」リストを見てみよう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
最も古い築年数の「五つ星ゴールド評価」は
大阪府の1974年築マンションが獲得!
「マンションは新築ほど素晴らしい、築古のマンションは価値がない――」そんな常識が、いま変わりつつある。
本特集#3でも取り上げたように、いま新築マンションの供給は極端に少なくなっている。人気エリアでは需給バランスとは懸け離れた高値で取引されており、一般庶民にとってはローンを組んで買う対象から外さざるを得ない物件も増えている。郊外などのエリアでは、そもそも新築マンションの販売自体が何年もない所も珍しくない。
いまほど「良い中古マンションを選び、買う」というニーズが高まっている時代はないだろう。
ただし、これまでの中古市場は、「どこに地雷があるか分からない」ものだった。安さに引かれて買ったものの、修繕積立金が足りずに大規模修繕が困難だったり、管理不全だったり――。たとえ同じ築年数でも、建物の修繕が適切に行われてきたか、マンションの維持管理に必要な資金がしっかり集められてきたか、管理組合の運営は健全に行われているかなどの各ポイントで、マンションの資産価値には天と地ほどの差がつく。
ところが、物件購入の段階でこうした情報を外部から得るのはこれまで非常に困難だった。大手不動産ポータルサイトに掲載されている物件情報は、月々の管理費と修繕積立金くらいで、実際の管理の詳細については掲載されていない。せいぜい物件を契約する場の重要事項説明書で、管理の状況について初めて一部を知ることができる程度だったのだ。
だが、これが2022年から革命的に変わった。改正マンション管理適正化法の施行により、優良な管理計画を持つマンションを認定する「マンション管理計画認定制度」が始まったのだ。(詳細は特集『マンション管理・天国と地獄』#4『マンション管理「評価格付け」4月開始で何が変わる?国交省&業界団体の両制度を最速解説』で解説)
これは、国土交通省が設定した16の認定項目に、さらに独自の項目を自治体が付加した上で、認定を希望するマンションの管理計画を、自治体が主体となって審査するものである。
この制度とリンクするようなかたちで、管理会社の業界団体としては最大のマンション管理業協会(マン管協)が「マンション管理適正評価制度」を開始した。管理体制、建築設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連の五つの大分類に分かれた全30項目について評価される。それぞれの項目で何点が得られたかまで分かり、合計得点によって星五つから無星までの6段階評価がなされる。
12月3日現在でマンション管理計画認定制度には全国339のマンションが、マンション管理適正評価制度には2428ものマンションが登録されている。
ダイヤモンド編集部では、このうちマン管協の適正評価制度に登録し、マンション管理適正評価サイトに掲載されたデータを徹底分析。最高評価である五つ星(管理評価獲得ポイントで90点以上)を獲得している、いわば「ゴールド管理マンション」を選び出した。そして、サイトでは直接検索できない築年数などのテーマに従ってリストアップしたのが、次ページからの「ゴールド管理マンションリスト」だ。ちなみに、同時に国の認定制度も取得しているマンションは別途マークで示している。
今回は1999年12月以前に建設された、いわゆる「築古」のカテゴリーに入るマンションのリストを紹介しよう。
国の認定制度、マン管協の評価制度のどちらにも言えることだが、築年数が古いマンションほど高評価を獲得するのが難しいという特徴がある。マンション建物の修繕は、築年数が経過するほどコストがかかる。それを行うための十分な資金計画が立てられているか、度々変更される国の管理ガイドラインに合わせて規約のアップデートができているかなどのハードルは、築年数が古いマンションほど高くなる。
だがそのハードルを乗り越えたゴールド管理マンションが、全国に147存在する。最古のものでは来年築50年となる大阪府のマンションがリストアップされている。
同じように見える金の延べ棒でも、中身は純金と、色紙が貼られた積み木ほどの差があるのが中古マンションだ。中古マンション購入を検討している人は、ぜひ次ページからのリストを確認して「本物のゴールド」を選び出してほしい。