インフレによる利上げ観測が渦巻き、実際に固定金利ローンの利上げが行われている。ではこれから住宅ローンを借りる人、借り換える人はどのような選択をすべきなのか?特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#15では、気鋭の住宅ローンアナリストがその選び方と今後の見通しを伝授する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
マイナス金利政策解除観測でどう変わる?
「圧倒的変動金利有利」はどうなるのか
インフレが進む中、多くの人にとって気になるのが住宅ローン金利だろう。特に現在、住宅ローンを変動金利で借りており、金利が急激に上がったらどうしようと心配する人も多いのではないか。
住宅金融支援機構が住宅ローンを利用した人1500人を対象に、インターネット経由で2023年4月に行った調査によると、全体の72.3%が変動金利で住宅ローンを借りている。ソニー銀行が22年4月から23年3月までの間に、自行でローン借り入れを行った人を対象に行った調査によると、実に96%が変動金利ローンを選択している。圧倒的な変動金利ローン人気だ。
マンション価格の急激な高騰に消費者が「付いてこられた」のは明らかに史上最低の金利となった変動金利ローンのおかげだ。「変動低金利で少し背伸びをした借り入れを行い、自分の買える最高の立地のマンションを買う」という行動を取った人が、ここ最近マンション売買でキャピタルゲインや含み益を出す結果となっている。
固定金利ローンは閑古鳥が鳴いている。住宅金融支援機構の35年固定金利ローンのフラット35は、かつて住宅購入の基本商品と見なされた時代もあったが「選ぶ人があまりに少ないためフラットの代理店の営業マンですら他行の商品ばかり売っている」と、あるマンション仲介業者は明かす。
そんな中、日本銀行がマイナス金利政策を解除するのではないかという観測が広まっている。
この状況は大きく変わるのか。このまま変動金利ローンを借りていていいのか。また新たに住宅ローンを借りる人はどのような選択をすればいいのか。気鋭の「住宅ローンアナリスト」が次ページから大胆に解説していく。