2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理#16Photo by Yoko Suzuki

管理業界に大きな影響を与えそうなマンション管理格付けと国の評価制度。管理現場での影響は果たして?そして「管理不全」マンションの脅威はどこまで広がっているのか?管理の未来はどうなるのか?特集『2023年決定版 インフレ時代の「負けない」マンション売買・管理』(全24回)の#16は、管理会社、管理組合理事によるぶっちゃけ座談会の最終回をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

【座談会参加者】
●はるぶー @haruboo0 RJC48代表。東京都足立区の500戸超マンションの理事を15年
●がすたま @gasu_tama 妻「やれ」。私「はい」。3回目の転生マンション理事役員生活
●ぞくぶつ @sokubukken マンション管理が趣味の人(炎上系)
●黒ひつじくん @TDmU7jdTLqYw9Sp マンション管理士。日本全国対応の何でも屋
●はじめ @mscondohajime マンション管理会社のフロントの人

「認定制度・評価制度、インセンティブ薄いよ!
もっと御利益ないと広まらない!」

――国のマンション管理計画認定制度とマンション管理業協会のマンション管理適正評価制度が始まって1年たちました。皆さんの身の回りで何か変化は?

はじめ 何も変わらない。担当マンションからは「なんですかそれ、そういうのあるの?」みたいな感じの反応。固定資産税の減税措置があるので、それに合致したマンションには提案してますけどね。お客さんから取りたいと言われたことはホントに少ないですよ。

はるぶー 世にあるマンション数10万棟のうち評価制度取得が2000件、認定制度は300件とかだからね。そういう制度あるんだなというのがほのかに話題になってきた程度。特に認定制度の方は、申し込みがすごい少ないみたいですよね。申請をやりとりしている間に脱落しちゃうみたい。うちは足立区ですけど、うち含めて2件だけですね。

――管理会社によって認定・評価取得の件数がまったく異なるという結果が出ています。

はるぶー 理事会が自力で取るのは非常に難しいので、管理会社がお世話しないと取れないんだけど、会社によって熱心度とか抱えてる組合への勧め方が全然違うよね。例えば何千棟もある合人社計画研究所の管理マンションは1件も評価取ってないとか、取得している組合のうち、東急コミュニティーと日本ハウズイングの2社が管理するマンションが全体の4割を占めてるとか。これは実際の評価点数を問わず全部に取らせちゃう感じなのかな。あと東急はタワーマンションなどで手数料20万円とか請求するなどのケースもあると聞きました。財閥系とかは明らかに高得点が取れそうなところにしか勧めてないのかも。

黒ひつじくん(黒ひつじ) これらの制度を単なるシノギと考えてるか戦略として捉えてるか、管理会社の姿勢の違いだと思います。あと、ホントに普及率上げたいのなら税金減ります、保険料安くなります、っていう金銭的なインセンティブをガンガン出さないと。組合に提案しても「メリットは点数がつくことです」「は?」で終わっちゃう。

管理業界からは長年待望だったマンション管理の評価制度だが、普及のスピードはイマイチ……。もっと広まるためにはどうすればいいのか?そして地方ではとんでもないスピードで管理不全マンションが増加しているとか……。次ページから首都圏では知り得ない衝撃の実態が語られる!