2024年は「首都圏vs関西」といった電気代のエリア格差がますます広がり得る。また、電力利用者が選択する料金メニューの“落とし穴”にはまり、電気代格差で泣きを見る者も出てくる。特集『総予測2024』の本稿では、東京電力ホールディングス、関西電力、中部電力などの大手電力および新電力の動向から、24年以降の電気代と電力業界を見通す。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
電気代に最大3割のエリア差
2024年は格差さらに拡大か?
標準的な家庭の電気代を大手電力のエリア別で見ると、規制料金と呼ばれる主に家庭向けの低圧区分の料金メニューで最大約3割ものエリア格差が既にある。
二大都市である東京と大阪を比べると、東京電力エナジーパートナー(東電EP、東京電力ホールディングス〈HD〉完全子会社)と関西電力では2割ほど関電の方が安い(詳細は次ページ表参照)。
エリア格差の理由は、各社で原子力発電所の稼働状況の違いなどがあり、電力を供給するための原価が異なるからだ。東電EPなど大手電力7社は23年6月に規制料金を一斉値上げしており、その影響もある。
高圧以上の法人向けの電気代は相対契約のため、分かりやすい比較データはない。つまり個々の契約次第ではあるが、「規制料金と同様にエリア格差がある」(ある業界関係者)という。
新規参入組である新電力はおおむねエリア別に大手電力と競った電気代で勝負しており、似通ったエリア格差がある。
では、24年以降はどうなるか。エリア格差はさらに拡大するのか。
次ページでは、24年にさらに拡大し得る電気代格差に迫る。大手電力の中には値下げ余地のあるところもあれば、再値上げのリスクを抱えているところもある。また、電力利用者が選択する料金メニューの“落とし穴”にはまり、泣きを見る者も出てくる。