総予測2024#69Photo by Masato Kato

2024年4月1日から、建設業にも働き方改革に伴う残業時間の上限規制が適用される。これにより人手不足が深刻化する「2024年問題」にどのように対処するのか。2024年問題をきっかけに、生き残りをかけた業界再編が進むのか。建設業界「総本山」である日本建設業連合会の宮本洋一会長を直撃。特集『総予測2024』の本稿では、宮本会長のインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

政府支援で追い風吹くも
資材高は簡単に収まらない

――2024年の業界展望は。

 足元では建設投資は堅調です。24年度も民間による設備投資はわずかに増える見通しで、公共投資に関しても予算を確保してもらえると思います。

 また政府の中央建設業審議会では、持続可能な建設業を目指し、「請負契約の透明化による適切なリスク分担」「適切な労務費の確保」「魅力ある就労環境の実現」の達成に向けて法整備を進める検討が始まりました。

 これは建設業界にとって追い風。政府の力も借りながら建設業界を変革していきます。

 ただし、喜んでばかりはいられません。ゼネコン各社の中間決算が示している通り、とりわけ民間工事が中心の建築分野は利益率が良くない。折からの資材高の影響を施主に価格転嫁できていません。

――資材高の見通しは。

 高止まりしていたのが、ここ2、3カ月で再び上がり始めています。資材高は簡単に収まらないし、なかなか下がらないのではないかとみています。労務単価も21年1月時点に比べて、9.1%上昇しています。

――働き方改革に伴う残業時間の上限規制が24年4月から、いよいよ建設業にも適用されます。人手不足が深刻化するのは必至で、「2024年問題」にどのように対処しますか。

次ページでは、宮本会長が2024年問題の“処方箋”を明らかにする。また、業界再編について具体的な企業名を例に挙げ、メインシナリオを予測する。