「成長ゴール」に少しずつ近づいている実感が大切
いよいよ、研修も最後の「まとめ」に入り、この日の学びを現場で実践するための「アクションプラン」を作成することになった。夏のフォロー研修時には、今回のフォロー研修までに取り組みたい「アクションプラン」を作成したが、今回は第3回のフォロー研修までに取り組みたい内容をまとめていく。その内容を、ブロックで再び表現するのが、前回とは違う試みだ。「2年目に入る段階の、近い将来の『なって良かった自分』をイメージしながら創ってみましょう」と、内山講師。作品にはタイトルをつけ、グループで紹介し合う。お互いに質問することで、それぞれが抱いていたイメージがより明確になっていくのではないかと私は思った。「研修が終わった後も、無理やりでも自分で聞いて自分で答えることを行うといいですね。それを『セルフコーチング』と言います」と、内山講師がアドバイスを加えた。
次に、ブロックで創った作品のイメージを言語化して「アクションプラン」に書き込み、ペアワークでお互いのプランをレビューし合った。これが研修最後の対話の時間だったが、どのペアも真剣に話し込み、今回の研修プログラムの中で最も盛り上がっているように見えた。
以上で、3つ目の学習目標である「自身のキャリアを前向きにとらえ、今後の具体的な行動を計画できる」をクリアし、すべての研修が終了した。
研修全体で私の心に残ったのは、各受講者の上長から、職場での能力についてのフィードバックがあったことだった。上長や周囲の人たちのフィードバックや職場でのサポートは、新入社員である彼ら彼女らの成長に大きな役割を果たすのではないだろうか。私のそんな問いかけに、内山講師は次のように答えた。
「研修で学んだことを持ち帰り、それが職場で行動として現れるかどうかは、周囲、特に上司の関わりが大きいです。上司は、新入社員の学習してきたこと、これから行っていこうとしていることをしっかり聞き、サポートする約束をし、実現する方向に導くことが大切です。単に研修の報告を聞くだけではなく、聞いたうえで承認すること。研修でアクションプランの作成をしましたが、それについても、どうやったら、より効果的に実現できるのか、職場の実務と結びつけながら、サポート体制を整えられるとよいですね。『ちょっと変わってきたね』『いままでよりもできているね』などと声をかけ、以前よりも良くなっている実感を本人に持たせてほしいです」(内山講師)
「成長ゴール」に少しずつでも近づいている実感を持つことは、新入社員にとって大きな自信となる。それは、離職防止にもつながるはずだ。
次回のフォロー研修は、社会人1年目が終わる時期に予定されている。最後となるフォロー研修で新入社員たちがどのような成長の姿を見せてくれるのか、楽しみにしたい。