ドイツは国内投資呼び込み輸出増やす
日本は企業が海外流出、世界4位に後退
2023年に日本のGDP(国内総生産)がドイツに抜かれ、世界4位に転落する見通しだ。
その主因は日本経済が長期停滞から抜け出せてこなかったことだが、中でも特筆すべきは、企業の海外進出が進み製造業などを中心に国内生産の基盤が弱体化、日本の“国内自給率”が低下してしまったことがある。
ドイツは日本と同様、人口は減少傾向にあったが、それでも着実な経済成長を実現してきた。というのも、特にユーロ導入(1999年)によるEUの市場統合が完結した後の2000年代以降、政府が経済連携協定の拡大や法人税率引き下げなどで企業が国内で活動しやすい環境を作るために積極的な政策を講じ、国内の「立地競争力」を高めたからだ。
これに対し、日本では円高デフレを長期間放置してしまったために、逆に企業の海外流出を加速させるような状況を作り出してきた。経済成長の源泉は企業活動であり、国内生産比率の高いドイツは成長し、日本は停滞する結果になった。
日本でも2010年代半ば以降は円安への流れに加えて、経済安全保障の重要性の高まりから製造業の国内回帰の動きも出てきたが、成長を加速させるには人材育成や規制緩和などによる海外企業の誘致を含めて国内の強みに向けた直接投資を増やし、生産力を高めていく戦略が重要だ。