2024年日本株で優位に立つ銘柄選びのポイント、上期は「銀行・バリュー株」で下期は?Photo:PIXTA

2023年は利上げが継続する中、拡大を続けた世界経済と円安が日本株を支えた。24年はこの二つの要因が反転する可能性が高い。そうした環境下では、高成長かつROE、利益率が改善し、財務体質が良好な質の高い銘柄が優位に立つ相場となるだろう。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)

インフレを受け入れられれば
24年は日本株の大きな転換点に

 2023年の日経平均株価は円ベースで28%上昇し、ほぼすべての先進国株式市場の上昇率を上回った。24年は日本株にとって転換点となれるかどうかの重要な年となるとみる。

 日本が30年ぶりの大きな変化ともいえるインフレのある世界へ突入する中、新しいマクロ経済の環境を転換点とできるかどうか、日本株にとって新たな夜明けになるのか。24年は節目の年になるだろう。

 初めに、23年に始まった企業および消費者行動の前向きな変化は24年も続くと考える。

 増配、自社株買いおよび持ち合い株の解消を通じた企業のコーポレートガバナンス改革は進んでいる。東証(東京証券取引所)からの企業価値およびROE(自己資本利益率)向上に対する要請もこのトレンドを後押ししている。また、過去とは異なり、企業は積極的に値上げを実施し、23年は利益率が改善した。消費者は、2年に及ぶコロナ禍での制約が撤廃され値上げを許容し、消費できる環境を楽しんでいるように見える。

 これらのトレンドは24年も続き、緩やかなインフレと賃金上昇が継続するとみている。しかし、日本の消費者と企業に、インフレマインドが定着するかどうかが最大の不確実要素だ。米国や欧州とは異なり、多くの日本の労働者はこれまで一度もインフレを経験したことがなく、消費者にも企業にもデフレマインドが根強く残っている。

 デフレマインドが変化し、インフレという新たな環境を受け入れられるならば、24年は日本株にとって大きな転換点となり、長期的にバリュエーションが切り上がる最初の年となるだろう。

 次ページ以降、24年に注目すべきポイントや相場を巡る環境の変化を検証していく。